日本臨床外科学会雑誌
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成人の慢性特発性大腸偽性腸閉塞症の1例
根本 明喜五嶋 博道勝峰 康夫林 実夫池田 剛
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1999 年 60 巻 1 号 p. 159-164

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抄録

最近われわれは成人の慢性特発性大腸偽性腸閉塞症の1手術例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は27歳男性,幼少時排便異常はなかったが, 15年前より便秘ならびに腹部膨満感が出現し下剤を服用.最近では便秘傾向が増悪し,便通が1カ月1回となり来院.来院時腹部は著明に膨隆し,腹部X線ならびにCTでは直径22cmに拡張したS状結腸および大量の宿便を認めた.注腸透視では直腸にnarrow segmentはなく,大腸内視鏡では小児頭大の糞石を認め,直腸生検にて神経節細胞を証明し得た.以上より慢性特発性大腸偽性閉塞症と診断し手術を施行.開腹するに腹膜翻転部から下行結腸まで約50cmにわたり,最大周径35cmの著明な拡張が認め,腹膜翻転部から口側5cmの部位より口側に50cm切除し端々吻合した.組織学的所見では神経節細胞の軽度変性が認められた.術後経過は良好で現在術後1年6カ月であるが, 1日1回の排便を認め腹部膨満も消失している.

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