日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
虫垂粘液嚢腫の1例
石田 秀之龍田 眞行川崎 高俊桝谷 誠三宮 章博里見 隆吉岡 寛康星田 義彦
著者情報
キーワード: 虫垂粘液嚢腫
ジャーナル フリー

1999 年 60 巻 1 号 p. 149-153

詳細
抄録

症例は56歳,女性.回盲部腫瘤の精査・加療目的で当院を受診した.注腸透視,大腸ファイバー検査,腹部CT & MRI検査より虫垂粘液嚢腫と診断し,リンパ節郭清を伴う回盲部切除術を施行した.
虫垂粘液嚢腫は組織学的には非腫瘍,良性腫瘍,悪性腫瘍の3種に分類される.術前に組織学的診断を得ることは困難で,約10%が悪性腫瘍であるがリンパ節転移は稀なので,まず虫垂切除術を行うのが妥当とする報告も多い.著者らは虫垂が微少穿孔をきたしやすい臓器であることと本症の場合良性腫瘍であっても腹膜偽粘液腫の状態になり得ることから,全例に回盲部切除を施行すべきと考える.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top