日本臨床外科学会雑誌
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肝炎症性偽腫瘍の1例
江畑 智希宮田 完志服部 龍夫小林 陽一郎湯浅 典博加藤 万事
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1999 年 60 巻 1 号 p. 168-172

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抄録

肝炎症性偽腫瘍の1例を経験したので報告する.本症例では特徴的な所見を認め画像診断可能であった.
症例は57歳女性.胆管空腸吻合の既往があり,当科で経過観察中であった.発熱を主訴に当科を受診した.超音波検査で肝後上亜区域に径3.5cmの低輝度腫瘤を認め,単純CTでも低吸収域を認めた.造影CTでは中央部分が濃染し辺縁部は濃染せず低吸収域であった.肝動脈CT早期相では腫瘤全体が高吸収域となり,晩期相では辺縁部が高吸収域のまま残り中央部分は低吸収域となった.以上のCT所見より肝炎症性偽腫瘤と診断し,肝生検を施行した.病理組織学的にリンパ球・形質細胞浸潤を伴う線維性組織を認め,肝炎症性偽腫瘍と診断された.その後無治療で経過観察し,腫瘤像は縮小しCTで線維性組織を認めるのみとなった.

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