日本臨床外科学会雑誌
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重複癌(胃,膵)術後9年経過後に発見された肝内胆管癌の1例
古垣 浩一佐藤 裕篠原 正博高嶋 雅樹岸川 英樹
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1999 年 60 巻 1 号 p. 173-177

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抄録

早期胃癌と膵癌の同時性重複癌の術後9年目に発生した,末梢型肝内胆管細胞癌の1例を経験した.症例は74歳の男性で,前回の手術後の外来フォロー中に腫瘍マーカーが高値を示し(CA 19-9:267IU/ml),腹部CT検査にて肝右葉前上区域(S8)に径3cm大の不規則なlow density areaを呈す腫瘍を認めた.肝腫瘍はCT検査,超音波検査,また血管造影の所見からは,胃癌ないし膵癌からの肝転移と肝内胆管細胞との鑑別が困難であったが,単発(孤立性)で初回手術より9年経過しているという点から肝内胆管細胞癌を第一に考え,肝のS8部分切除術を施行した.切除標本の病理組織学的検索にても末梢型肝内胆管細胞癌の所見であった.胃癌,膵癌,肝内胆管細胞癌という組み合わせの異時性三重複癌は文献上非常に稀であり,今回報告する.

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