1967年から1997年にかけて外科的治療を施行したCrohn病59症例について術式別に比較し,特に病変部空置兼粘液瘻造設術の有用性に関して詳細に検討した.延べの手術は112回で,病変部空置兼粘液瘻造設10回,腸切除86回,バイパス5回,人工肛門造設7回,その他4回であった. 5年および10年累積再手術率はそれぞれ,病変空置兼粘液瘻造設群0%, 33.3%, 腸切群29.3%, 57.8%, バイパス群60.0%, 60.0%, 人工肛門造設群52.4%, 52.4%であり,病変空置兼粘液瘻造設群の再手術率は有意に低かった.また,病変部空置兼粘液瘻造設群の再燃は2例で,そのうち再手術した1例は再手術までの期間が長く,他術式と比べて再燃,再手術率に遜色なく, Crohn病の外科治療に際し一つの選択術式として有用であることが示唆された.