1999 年 60 巻 1 号 p. 22-27
S状結腸癌に対する第3群リンパ節郭清を伴う腹腔鏡補助下S状結腸切除術を施行し, 1995年1月から1997年12月までに25例を経験した.適応は深達度MP, リンパ節転移N 1以下,腹膜播種および肝転移のない症例とした.手術は四角形の頂点にポートを留置し,従来の開腹術と異なるS状結腸間膜右側からのアプローチで,下腸間膜動脈根部郭清を行った.右側アプローチはリンパ節郭清と後腹膜の解剖の確認において合理的であると思われた.また,同期間に施行した開腹S状結腸切除術21例と比較したところ,手術時間,摘出リンパ節数に有意差はみられなかったが,出血量の有意の減少がみられ,術後社会復帰までの日数は有意に短縮した (p<0.0001). 腹腔鏡補助下S状結腸切除術は,開腹術と遜色のないリンパ節郭清が可能な手術であると思われた.