日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
肝外発育を呈した巨大胆管細胞癌の1例
羽田野 和彦伊藤 重彦角田 順久木戸川 秀生田川 努吉田 一也
著者情報
キーワード: 胆管細胞癌, 肝外発育
ジャーナル フリー

1999 年 60 巻 1 号 p. 188-192

詳細
抄録

肝外発育を呈した巨大胆管細胞癌の1例を経験した.症例は89歳,女性.腹部腫瘤触知,腹部不快感を主訴に受診した. CEA, CA 19-9はそれぞれ1.275ng/ml, 4.950U/mlと増加していた,腹部超音波検査では,肝右葉より肝外に膨張性に発育する境界明瞭な巨大腫瘍を認めた.腹部CT検査では,腫瘍は骨盤腔内に及び,肝十二指腸間膜は左方に圧排されていたが明らかな浸潤は認められなかった.腹部血管造影検査では,腫瘍は肝動脈のa 5, a 6分枝のみから栄養されており,周囲臓器からの派生血管はなかった.手術はs 5, 6肝部分切除により治癒切除を施行し得た.摘出腫瘤は表面平滑,弾性硬で15×10×8cm大,重量1.300gであった.病理組織学的には高分化型管状腺癌と診断された.本邦における肝外発育型の巨大胆管細胞癌は2例しかみられず,自験例は貴重な症例であると考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top