日本臨床外科学会雑誌
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乳癌術後LH-RH agonist投与終了後に妊娠・出産した1例
林 英一宮崎 明子牧原 一彦岡田 耕一郎吹野 俊介深田 民人
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キーワード: 乳癌術後, 出産
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1999 年 60 巻 1 号 p. 38-41

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抄録

乳癌手術後にLH-RH agonistを投与し,その後妊娠・出産した1例を経験した.症例は29歳女性で,右乳房の多発性乳癌に対し胸筋温存乳房切除術が施行された.病期分類はt1n0m0でstage Iであり,術後の補助療法としてtamoxifenの投与を行ったが途中LH-RH agonistに変更された.経過中,患者より子供が生みたいとの希望があり,内分泌療法を術後2年間で中止したところ, LH-RH agonistの最終投与から約3カ月後にはほぼ正常な月経が確認され,さらにその7カ月後に妊娠,そして元気な男児を出産した.
乳癌術後の妊娠,出産に関しては,症例によりまた医師個人によりその対応は様々であろうが,術後の経過に問題がなければ,充分な説明と同意の上で,積極的に協力的に対応していくのも一つの方針と考える.

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