日本臨床外科学会雑誌
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腋窩リンパ節転移により発見された潜在性乳癌の1例
藤井 雅和竹中 博昭原田 昌和小林 祐子守田 信義江里 健輔
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1999 年 60 巻 1 号 p. 46-49

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抄録

症例は52歳の女性,主訴は左腋窩部腫瘤.近医で左腋窩リンパ節生検を施行され上皮性未分化癌の診断を得たが,原発巣不明のため3カ月後当科に紹介入院となった.術前の理学的所見,画像診断で両側乳房,頸部,胸部,腹部臓器に原発巣を発見しえなかった.本症例に左側胸筋温存乳房切断術を施行した.摘出標本の5mm間隔の組織切片を作成し, c領域に径8mm×5mm, 5mm×3mmの小さなmass lesionを検出した.この病変部は先に生検された腋窩リンパ節と組織学的に同一であり,同部を原発巣と診断した.術後1年2カ月後の現在再発の兆候なく健在である.腋窩リンパ節に癌転移が認められた場合,その原発巣としては乳房の頻度が最も高い.このため本疾患では乳房切断術あるいは乳腺放射線照射+化学療法などの同側乳房に対する治療が必要である.

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