日本臨床外科学会雑誌
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腸管転移をきたした乳癌の1例
坂東 道哉立山 健一郎角 泰廣東 正樹吉田 直優小田 泰崇河西 克介尾関 豊
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キーワード: 乳癌, 小腸転移, 大腸転移
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1999 年 60 巻 1 号 p. 50-55

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抄録

症例は45歳女性. 40歳時で胸筋温存乳房切除術および術後化学療法を受けた.術後5年5カ月目に下腹部痛,嘔吐が出現し,入院.大腸内視鏡,注腸造影で大腸に多発性の狭窄を認めたため,開腹術を施行した.術中所見で小腸および大腸に多発性腫瘍を認めた.結腸右半切除,小腸部分切除およびS状結腸人工肛門造設術を施行した.切除標本の病理組織検査で乳癌の小腸・大腸への転移と診断した.術後CMF療法を6コース施行し, 10カ月の現在,外来通院中である.転移のみられた乳癌135剖検例での検討では乳癌の消化管転移は8.9%と報告されているが,臨床的に発見されることは少なく,稀な症例と思われた.

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