日本臨床外科学会雑誌
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Behçet病動脈瘤に対して人工血管置換術に有茎性大網被覆術を行った1例
前田 光徳小長井 直樹工藤 龍彦小櫃 由樹生石丸 新
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1999 年 60 巻 1 号 p. 65-69

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抄録

血管Behçetによる動脈瘤は,急激に増大し破裂する危険性が高い.このため,手術療法を第1選択とすることが多いが,一方で術後吻合部瘤などの吻合部合併症も高頻度でみられ,手術成績は不良である.今回この予防として,有茎性大網被覆術を行い良好な結果を得たので報告する.
症例は56歳男性.昭和42年に口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍,下腿結節性紅斑,視力障害,外陰部潰瘍等の症状がみられ,完全型Behçet病と診断され,経過観察していた.平成4年12月に腹部の嚢状動脈瘤を指摘され, Y型人工血管置換ならびに大網被覆術を行った.その後外来にてステロイド等内服による保存的治療を行っているが,現在術後5年以上経過するも吻合部合併症を認めず良好であり,大網被覆術が有効だと考えられた.

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