日本臨床外科学会雑誌
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胸腔鏡下に切除した肺炭粉沈着症の1例
花岡 俊仁大佛 智彦鈴木 栄治長井 一信石田 数逸三原 康生
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1999 年 60 巻 1 号 p. 70-73

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抄録

症例は44歳,女性.人間ドックにて胸部異常陰影を指摘され精査を行った.胸部CTにて右下葉外側胸膜に接して径lcm以下の2個の腫瘤影を認め,確定診断のため手術を施行した.右下葉表面に2カ所黒色病変を認め,胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.病理組織学的所見は2個の結節とも炭粉貪食マクロファージとリンパ球の集籏による肉芽組織が形成されており,肺炭粉沈着症と診断した.
肺の炭粉沈着症は成人では一般的にみられるものであるが,腫瘤を形成して手術を必要とすることは比較的稀である.本症例は喫煙歴と粉塵作業歴はないが,鉄工所での勤務による低濃度の粉塵曝露が炭粉沈着の誘因となった可能性も考えられた.画像的に肺癌との鑑別が困難で,確定診断には胸腔鏡下手術が有用と考えられた.

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