日本臨床外科学会雑誌
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受傷後1カ月目に発症したと思われる閉塞期外傷性横隔膜ヘルニアの1例
川田 通広鈴木 一郎青木 靖雄尾崎 和義
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1999 年 60 巻 1 号 p. 74-78

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抄録

胸腰椎圧迫骨折後1カ月目にイレウス症状を呈し発症した横隔膜ヘルニアの1例を経験したので報告する.
症例は76歳の女性,既往歴として慢性関節リュウマチのため10年前よりプレドニン5mg内服していた. 1カ月前,自宅にて転倒後,胸腰椎圧迫骨折を認め当院整形外科にて入院治療中,悪心,嘔吐,腹部膨満を認めた.左胸腔内に大量のガスを有する腸管と,それに伴う胸水を認め左横隔膜ヘルニアと診断し経腹的に手術を施行した.食道裂孔近傍横隔膜に約2cmの裂孔があり回腸が嵌入,血性胸水1.600mlを認めた.胸腔内回腸を還納後,循環障害の改善を確認し横隔膜を結節縫合閉鎖した.術後,一過性の再膨張性肺水腫を認めたが人工呼吸管理で改善した
横隔膜ヘルニアは外傷後,遅発性に発症する場合もありその可能性を念頭に経過観察を続けることが肝要であると思われた.

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