日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
食道抜去術後にイレウスを来した横隔膜ヘルニアの1例
古永 晃彦中山 富太藤井 康宏河村 勉江里 健輔
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 60 巻 1 号 p. 79-81

詳細
抄録

非開胸食道抜去術後,開排された食道裂孔をヘルニア門とする横隔膜ヘルニアを経験したので報告する.症例は62歳男性である.腹痛を主訴として当院外来を受診した.患者は生来の大酒家であり,約15カ月前に早期食道癌にて非開胸食道抜去術を受けていた.画像診断にて,横隔膜ヘルニアとそれに伴うイレウスと診断し緊急手術を行った.手術所見は,食道抜去術時の食道裂孔開排部より小腸と横行結腸が胸腔内に脱出していた.このため,脱出していた小腸と横行結腸を腹腔内に還納し,ヘルニア門となっていた食道裂孔部をMarlex meshにて補強した.大酒家に非開胸食道抜去術を行う場合にはかかる合併症が発生する可能性があると考えられたので報告する.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top