日本臨床外科学会雑誌
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乳腺葉状腫瘍の臨床病理学的検討
下山 雅朗佐野 宗明牧野 春彦
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キーワード: 乳腺良性腫瘍, 葉状腫瘍
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1999 年 60 巻 1 号 p. 8-13

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抄録

1994年から1997年8月まで当科で切除した乳腺葉状腫瘍47例を臨床病理学的に検討した. 47例中良性は39例,境界病変は5例,悪性は3例であった.腫瘍径は5cm以下が全体の81%と多く,また2cm以下の症例が全体の38.3%に認めた.視触診,マンモグラフィー,超音波検査, ABCのいずれでも葉状腫瘍の良性,境界病変,悪性の鑑別は困難であった.また,乳癌との鑑別を要するものも少なからず認めた.手術術式は局所切除術が43例,乳腺全摘出術が1例,単純乳房切除術が1例,胸筋温存乳房切除術が2例に施行されていたが,胸筋温存乳房切除術が施行された2例は術前乳癌との誤診例であった.観察期間内の再発例は2例でいずれも局所切除術を施行した良性葉状腫瘍であり,境界病変,悪性例に再発は認めていない.治療は正常乳腺を充分に含めた局所切除術で充分であると思われた.

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