日本臨床外科学会雑誌
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胃原発小細胞癌と腎細胞癌の同時性重複癌の1例
酒徳 光明小杉 光世中島 久幸家接 健一清原 薫寺畑 信太郎
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1999 年 60 巻 10 号 p. 2778-2782

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抄録

症例はめまいと嘔吐を主訴に来院した66歳男性.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部小彎に中心陥凹を有する隆起性病変を認め,生検で小細胞癌疑いであった.腹部CT, MRI検査で左腎上極に2.5cmの腫瘤と右腎低形成を認めた.胃切除術と左腎部分切除術を施行した.胃癌は大きは3cm, 小細胞癌, med, INFα, sm, ly1, v1, n0, stage Iaであった腎細胞癌は2.5cmで, papillary type,granular cell subtypeであり,一部で被膜に浸潤を認めた. 3年4カ月後に左肺S1・2に異常陰影を認め胸腔鏡下に肺部分切除を施行した.腎細胞癌の転移であり,術後インターフェロン治療を行った.初回手術から5年以上経過したが胃小細胞癌の再発徴候なく,また術後腎機能低下による生活の質の低下なく生存中である.胃原発小細胞癌の予後はきわめて不良とされているが,自験例は長期生存し,かつ腎細胞癌が重複したきわめて稀な1例と考え報告した.

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