日本臨床外科学会雑誌
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手術既往のない胃に発生し,巨大皺襞形成を認めたgastritis cystica profundaの1例
天池 寿内藤 和世柳田 正志閑 啓太郎大森 吉弘岡 隆宏
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キーワード: 巨大皺襞形成
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1999 年 60 巻 2 号 p. 412-416

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抄録
症例は59歳男性.狭心症状の精査目的で来院した.心血管系の精査では異常を認めなかったが,高度の貧血を伴っていたため,さらに消化管を中心に諸検査が行われた.その結果,肝転移を伴う横行結腸癌と肥厚性胃炎と考えられる胃の隆起性病変を指摘された.1996年12月5日外科手術を施行.胃病変は手術所見で悪性リンパ腫が強く疑われたため,大腸病変と供にen bloc切除した.切除標本の病理組織検査にて,胃の病変はGastritis Cystica Profunda (GCP)と診断されたが,手術既往のない胃に発生し,巨大皺襞を形成するGCPは極めて稀であり.一般にその術前診断は困難である.しかしながら本症は基本的には非腫瘍性の良性病変と考えられ,保存的治療が原則であることから,超音波内視鏡検査や胃粘膜切除術などの手法を用い,術前に正確に診断することが肝要と思われる.
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