日本臨床外科学会雑誌
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食道癌に対する告知とQOLの変化
平井 敏弘向田 秀則山下 芳典吉田 和弘井上 秀樹檜原 淳桑原 正樹峠 哲哉
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キーワード: 食道癌, 告知
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1999 年 60 巻 3 号 p. 620-625

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抄録
食道癌患者に対して,告知を試み,告知によるQOLの変化について調査した.告知除外例は, 1. 患者が告知を希望しない場合, 2. 患者に病状の理解力がない場合, 3. 家族の同意が得られない場合, 4. SDSスコアーが60以上の高度うつ状態の場合とした.入院時の患者への告知に関するアンケート調査の結果では,患者自身への告知を希望した人が68.3%, 家族への告知を希望した人が19.5%, 患者自身へ全情報を告知することを希望した人は46.3%であった.実際の告知状況は,告知例が59.7%であり,非告知例の82.8%は家族の同意が得られないためであった.告知率は,女性,高齢者,非切除例,進行例が低い傾向であった.日常の生活はできたか,食欲はあったか,集中力があったかの質問項目で,告知群では有意なQOLスコアーの低下を認めた.しかし, face scaleに関してはむしろ告知群で有意な改善を認める結果であった.
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