日本臨床外科学会雑誌
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胃全摘術後のRoux脚の運動機能障害
松藤 凡種田 泉武鹿 良規大東 誠司中村 清吾柵瀬 信太郎西尾 剛毅櫻井 健司
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2300-2304

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抄録

胃全摘後のRoux-en-Y再建術症例では,長期に経口摂取が障害され著明な体重減少をきたすことが多い. 8例でRoux脚の内圧を測定し運動機能の検討を行った.マイクロトランスヂュサーを用いて空腹期および食後期の収縮活動を記録し,健常人の空腸内圧と比較検討した.空腹期記録では5例でphase IIIが認められ,この内3例でphase III持続時間が延長していた.残りの3例ではphase IIIは出現しなかった.食後期記録では, 6例は正常なランダムな収縮活動パターンを示し, 2例でphase III様の収縮波群が混在していた.食後期活動の収縮頻度とMotility Indexは3例で減少, 2例で増加していた.結局, 8例中7例で何らかの異常な収縮活動が認められた. Roux脚は,本来の小腸とは異なった収縮運動をしており,このことがRoux脚症候群や種々の消化器症状の重要な原因の1つであることが推測された.

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