日本臨床外科学会雑誌
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食道癌手術における胸腔内胃管再建法の適応についての検討
愛甲 聡吉住 豊杉浦 芳章小池 啓司田中 勧
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2295-2299

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抄録

食道癌切除術における胸腔内胃管再建法の適応を,占居部位,縦隔再発および縫合不全の危険因子より検討した. 1993~1998年の当科食道癌手術例のうち, Ceに病変がなく再建に胃を用いた68例を対象とし,右胸腔内吻合を行った53例(IT群),早期の縦隔再発を予測し胸壁前で再建した9例(MR群),縫合不全の危険性より胸壁前で再建した6例 (AL群)に分類した. IT群はIu症例14例を含むが,切歯列より24cm以内の病変では標本の口側距離が限定され,適応に際し注意が必要と考えた. MR群の多くはA3症例で,早期の縦隔再発により極めて予後不良であったが, IT群のA3症例でも縦隔再発による胃管通過障害の発生はなく,むしろ術後早期のQOLに優れた胸腔内吻合の適用が妥当と考えた. IT群に縫合不全の発生は1例であったが, AL群では主に重症肝障害,糖尿病と肝機能障害を合併する5例に発生し,これらの基礎疾患合併例は今後も胸腔内吻合の適応外と考えた.

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