日本臨床外科学会雑誌
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乳房温存療法後に発生した対側乳癌8例の検討
堀井 理絵福内 敦西 常博
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2326-2328

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抄録

乳房温存療法後に対側乳癌が発生した症例を対象として,対側乳癌発生率,臨床像,治療法について検討した. 1983年より1997年12月までに当科で乳房温存療法を施行した症例は275例でこのうち8例に対側乳癌の発生を経験した. 5年累積発生率は2.6%であり,同期間の乳房温存療法後の乳房内再発率2.5%とほほ伺率であった.対側乳癌は,乳房温存療法後平均57.1±45.6カ月後に,全例腫瘤自覚で発見された. TNM分類で1期が7例, II期が1例で,1期の6例に乳房温存療法を施行した.対側乳癌発生例の初回手術からの5年累積生存率は85.7%であった.乳房温存療法後は乳房内再発だけでなく,対側乳癌発生にも注意が必要である.また両側に乳房温存療法を施行した症例は,合併症もなく美容効果も良好であった.

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