日本臨床外科学会雑誌
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肝細胞癌切除後の肺門リンパ節転移の1例
坂本 和彦西田 峰勝前田 義隆岡 正朗栗本 典昭森田 克彦
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2338-2343

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抄録

肝細胞癌切除後の肺門リンパ節転移巣を切除し,良好な経過を得た症例を経験したので報告する.症例は63歳男性.平成5年10月,肝S7の肝細胞癌に肝後区域切除を施行し,約2年後S8の残肝再発と右肺上葉の肺転移に対し肝部分切除と肺部分切除を施行した.平成8年8月の胸部CTにて約2cmの肺門リンパ節腫大を認め, 3カ月後には腫瘤は約3cmに増大した.肺門リンパ節転移と診断し,平成9年1月よりミトキサントロンによる化学療法を施行し経過観察した. 5月の胸部CTで腫瘤は約4cmと増大したが,画像上で新たな他病変はなく手術適応と考えた.血管造影で大血管への浸潤はなく, 6月25日右開胸下右肺上葉切除とリンパ節郭清を行い術後15日目に退院した.術後約1年経過した現在,外来にて厳重に経過観察をしているが血液検査および画像診断で再発の徴候はない.

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