日本臨床外科学会雑誌
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胃切除後に発生したBarrett食道腺癌の1例
東 久弥横尾 直樹吉田 隆浩加藤 達史福井 貴巳山口 哲哉
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2349-2352

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抄録

胃切除術後のBarrett食道に発生した腺癌の1例を経験したので報告する.症例は81歳男性, 45歳時胃潰瘍のため胃切除術を施行, Billroth I法にて再建されている.上腹部痛が出現したため当院を受診,上部消化管内視鏡検査にて,門歯より25cmの部位よりBarrett上皮と思われる粘膜があり,その一部に発赤を認めた.発赤部の生検結果はGroup IVであった.半年後,内視鏡を再検したところ,門歯より30cmの部位に,表面が比較的平滑なI型の隆起性病変を認め,生検にてGroup Vと診断された.胸部食道全摘,胸腹部2領域郭清後,経胸骨後ルートで右結腸による再建を行った.病理所見では,腫瘤は2.7×1.8cmの隆起性であり,腫瘤を含め全長4.7cmにわたり粘膜の白色変化がみられた.組織学的には,隆起性病変内に乳頭状増殖をなす異型腺上皮を認め,高分化腺癌と診断された.

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