日本臨床外科学会雑誌
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胃悪性リンパ腫眼窩内転移の1例
藤本 崇司勝部 隆男成高 義彦芳賀 駿介小川 健治梶原 哲郎
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2367-2370

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抄録

症例は69歳,男性.左上腹部痛と嘔吐を主訴に当科来院.内視鏡検査で胃体部の潰瘍性病変と隆起性病変の混在を認め,生検にて悪性リンパ腫(diffuse large B cell type)と診断された.術前化学療法も考慮したが,潰瘍部穿孔の危険性を考え,手術を先行した.腫瘍は胃体部から膵臓,脾臓,横行結腸間膜,左横隔膜に広範囲に浸潤しており,切除不能であった.術後, THP-COP療法を開始したが,術後38日目より頭痛,霧視,右眼球の右方偏位が出現した.頭部CT検査で眼窩内に視神経を圧迫する腫瘍を認め,胃原発悪性リンパ腫の眼窩内転移と判断した.同部位に対して, 26Gyの放射線照射を行ったところ,腫瘍の消失とともに症状の改善を得ることができた.胃悪性リンパ腫に続発した眼窩内腫瘍に関する報告はみられないが,同部位に対して放射線治療が著効を示した1例を経験したので報告した.

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