1999 年 60 巻 9 号 p. 2371-2373
今回われわれが経験した症例は68歳の男性である.昭和56年6月(52歳時)に胸部食道癌で右開胸・開腹にて食道亜全摘,胸骨後経路による頸部食道胃管吻合術を施行した.術後16年経過した平成9年6月イレウスで入院した際,胃内視鏡検査で胃管下部左側寄りの後壁に隆起性病変を認め,食道癌術後の再建胃管に発生した癌と診断し,手術を施行した.
食道癌術後の再建胃管に発生した癌は一般に進行癌で発見されることが多くその結果予後不良となるため,早期発見を目的としたregimenにて定期的な経過観察を行うことが重要である.