1999 年 60 巻 9 号 p. 2374-2377
内臓逆位症は5,000人から10,000人に1人の割合で認められ,しばしば合併奇形が認められる.症例は64歳,男性で,心窩部痛を主訴として来院した.胃カメラで胃の襞集中像を認め,生検で腺癌と診断された.腹部USでは胆石症も指摘された.術前より他院で内臓逆位症の診断はなされていた.術前の精査では,心大血管系に合併奇型は認められなかった.手術は胃全摘+所属リンパ節郭清,胆嚢摘出術+術中胆道造影を施行した.術後経過は良好で,術後1年経過した現在,再発の徴候は認められてない.