日本臨床外科学会雑誌
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AFP産生十二指腸球部癌の1例
尾形 章大野 一英升田 吉雄遠藤 文夫増田 益功小幡 五郎
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2400-2404

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抄録

症例は64歳の女性で上腹部異和感および腹部腫瘤を主訴に当院を受診し,上部消化管造影および内視鏡にて十二指腸癌と診断され入院した.入院時の血清AFP値は480ng/mlであり, AFP産生十二指腸癌の診断にて開腹手術を行った.術中十二指腸球部を中心に腫瘍を認め,周囲および大動脈周囲リンパ節の腫大を伴った.胃癌取扱い規約に準じD4郭清を行い,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本において3型の腫瘍が十二指腸球部を中心にあり一部膵頭部への直接浸潤を認めた.組織学的には中分化型腺癌で肝様腺癌様の明るい胞体を有する腫瘍細胞は認めなかった.また, AFP染色 (SAB法)にて腫瘍細胞の細胞質は茶褐色に染まった. AFP産生癌の報告例は増加してきているが,原発性十二指腸癌での報告は稀である.今回, AFP産生十二指腸癌の症例を経験したので文献的考察を含めて報告する.

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