日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
進行胃癌十二指腸嵌入を認めた在宅酸素療法患者の1例
島貫 公義佐竹 賢仰目黒 浩昭
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 60 巻 9 号 p. 2405-2409

詳細
抄録

消化器外科手術前後における栄養状態の変動が慢性呼吸不全の病態,特に肺機能検査における一秒率 (FEV 1.0%) の変動に関与したBall Valve syndromeを伴った進行胃癌十二指腸嵌入症例を経験したので報告する.症例は83歳,男性で,胃癌が診断される以前より体重,栄養指数,およびFEV 1.0%の減少を認め,癌による症状発現とともにこれらの指数は著明に低下した.根治術による通過障害の消失により栄養状態が改善し,術後6カ月で呼吸機能および栄養状態は在宅酸素療法導入以前の状態までに改善した.潜在的な慢性閉塞性肺疾や在宅酸素療法施行症例においては呼吸機能への影響因子として,悪性疾患の合併による術前低栄養と術後の摂食状況に伴う栄養状態の変化が重要なものと思われた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top