日本臨床外科学会雑誌
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術前診断しえた盲腸後窩ヘルニアの1例
光武 範吏中崎 隆行谷口 英樹中尾 丞栄田 和行
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2426-2429

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抄録

症例は81歳,女性.主訴は腹痛,悪心.開腹手術の既往はない.腹痛,悪心のため受診,腸閉塞の診断にて緊急入院となった.入院後,保存的治療にて治癒せず,また,腹部CT検査にて盲腸窩ヘルニアと診断し,硬膜外麻酔下に開腹.盲腸内尾側に約1.5cmの裂孔があり,ここに回腸末端部が入り込んでいた.裂孔から後腹膜を切開し,回腸を引き出した.血行障害はなく,腸管切除は必要なかった.盲腸窩ヘルニアの本邦報告例は,検索しえた限りでは34例であり,稀な疾患である.術前に診断しえたものはわずか4例のみであり,若干の文献的考察を加えこれを報告した.

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