日本臨床外科学会雑誌
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下血をきたした成人Meckel憩室症の1例市
森本 修邦石田 秀之桝谷 誠三龍田 眞行谷川 昇星田 義彦
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キーワード: 下血, Meckel憩室症
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2430-2433

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抄録

症例は49歳,男性.平成6年下血にて入院した.消化管を精査したが出血部位は同定されず,保存的に止血したため外来通院となった.平成10年12月再度下血を生じ入院した.血管造影を施行したが異常を認めず,輸血にて保存的に経過観察していたが,下血が増悪したため再度血管造影を施行した.上腸間膜動脈よりヘパリン1,000単位を注入したところ回腸動脈の末梢から分枝する異常血管からextravasationを認めた.回腸からの出血と診断し緊急開腹手術となった.回腸末端から60cm口側に憩室を認めたため同部を含め回腸部分切除術を施行した.切除標本では憩室内に3カ所潰瘍を認めた.
病理組織学的に憩室先端に異所性胃粘膜を認め, Meckel憩室と診断した. Meckel憩室の合併症として出血,腸閉塞,憩室炎などがある.出血は小児以下で発症することが多く,成人での報告例は稀である.原因不明の小腸出血の場合, Meckel憩室からの出血も念頭においた精査が必要である.

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