日本臨床外科学会雑誌
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内視鏡により出血部位を確認できた出血性下行結腸憩室の1例
豊田 暢彦村田 裕彦
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キーワード: 結腸憩室, 憩室出血, 下血
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2434-2437

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抄録

今回われわれは,術前内視鏡にて出血部位を確認できた出血性下行結腸憩室の1切除例を経験したので報告する.症例は46歳,男性.平成10年6月1日,特に誘因なく下血を認め来院した.大腸内視鏡検査にて下行結腸脾彎曲部近くに憩室を認め,憩室底部には出血源と思われる露出血管を認めた.入院後保存的治療を続けたが,以後も下血は断続的に続き, 6月3日,再度大量出血を認め,プレショック状態となったため,緊急手術を施行した.下行結腸を授動すると,脾彎曲部より数cm肛門側で結腸間膜対側に径lcmの憩室を認めた.術中内視鏡にて同部からの出血を確認し,憩室の局所切除を行った.病理組織学的には,憩室底部の粘膜下層の動脈に内膜肥厚,器質化を示す部分を認め,血管周囲にはリンパ球,好酸球浸潤を伴う線維化を認めた.また一部の壁の破綻を認め,この部が出血源と思われた.経過は順調で,退院後現在まで再出血は認めていない.

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