日本臨床外科学会雑誌
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肛門類基底細胞癌の1例
大森 健宗田 滋夫橋本 純平吉川 幸伸森 匡遠藤 俊治大嶋 正人
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キーワード: 肛門癌, 類基底細胞癌
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2438-2441

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抄録

肛門管類基底細胞癌は皮膚の基底細胞癌と組織学的に類似した肝門管の悪性腫瘍で本邦では自験例を含め35例報告されているにすぎない.肝門類基底細胞癌の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.
患者は64歳,女性.肝門出血,鼠径部腫瘤を自覚し当科受診,手術目的に入院となった.肛門後壁(5時方向)に2型の肛門管から肛門皮膚に達する腫瘤を認め,左右鼠径部リンパ節腫大を認めた.注腸検査で肛門管に粘膜不整像を認めた.肛門部腫瘤生検を施行,その結果はGroup V (扁平上皮癌)であった.以上の所見から肛門癌,鼠径リンパ節転移の診断で腹仙骨式直腸切断術(D2)を施行した.肛門管から肛門縁にかけて4×3cmの2型腫瘍を認めた.組織結果はbasaloid carcinoma (T2 N2), stage IIIbであった.術後補助療法として化学療法(FAM)を施行した.術後1年再発の徴候はなく良好である.

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