1999 年 60 巻 9 号 p. 2479-2483
症例は71歳,男性.当院にて胆石の経過観察中に腹腔内嚢胞を指摘された.腹部超音波検査,腹部CT検査, magnetic resonance imagingで,肝左葉と胃の間に,最大径が約5cm前後の嚢胞性腫瘤を認めた.膵嚢胞と術前診断し開腹手術を行った.腫瘍は小網から発生しており,摘出術を行った.組織学的診断はリンパ管腫であった.小網リンパ管腫は極めて稀な疾患であり,自験例を含め本邦では26例の報告があるのみである.これらの報告例を含め,若干の文献的考察を加えて報告した.