日本臨床外科学会雑誌
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Cobb症候群に合併した巨大な後腹膜リンパ管腫の1例
田中 知博橋本 雅司上野 正紀宇田川 晴司澤田 寿仁渡邊 五朗
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1999 年 60 巻 9 号 p. 2489-2493

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抄録

症例は19歳女性. 10歳のとき右上肢に血管腫が出現し増大した. 13歳のとき四肢麻痺が出現し頸髄 (C4~6) の血管腫と診断され椎弓切除血管腫摘出術施行した.このときCobb症候群と診断された. 18歳のとき超音波検査にて腹腔内嚢胞性病変が指摘された.最近になり腹部圧迫感出現し入院した.入院時,右顎部から右胸部に血管腫が多数存在し,上腹部には臍下に達する軟な腫瘤を触知した.腹部超音波検査, CT, MRIで肝臓,右腎臓に接する径14cmの多房性嚢胞性腫瘤を認め,後腹膜より発生したリンパ管腫と診断した.手術所見では黄白色の境界明瞭な径14cm大の嚢胞性腫瘍があり左腎静脈下の後腹膜リンパ管との交通を確認し摘出した.病理組織学的診断はリンパ管腫であった. Cobb症候群に腹腔内のリンパ管腫が合併した報告はなく, Cobb症候群の発生を考える上で貴重な症例と考えられる.

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