日本臨床外科学会雑誌
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食道癌根治術後に脳血管障害を発症した3例
奥田 栄樹大杉 治司徳原 太豪高田 信康竹村 雅至木下 博明
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2000 年 61 巻 12 号 p. 3189-3193

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抄録

われわれは1996年4月より1997年12月までに,食道癌切除術を64例に施行し,そのうち3例に術後脳血管障害を認めた.脳血管障害例の内訳は脳梗塞2例(75歳・男性, 76歳・男性)と一過性脳虚血性発作1例(74歳・男性)であり, 3例とも抗凝固療法にて軽快した.そこで1998年1月以降は, 75歳以上または脳梗塞既往を有する食道癌症例に対して術後予防的抗凝固療法を行っている.その結果,食道癌切除術施行40例中5例に対して抗凝固療法を行い,脳虚血性障害を発症していない.一般に食道癌術後早期には呼吸管理として,輸液量の制限からやや脱水傾向にあり,脳虚血性障害を起こしやすい状態にあると思われる.それゆえ食道癌根治術後は脳梗塞既往例や高齢者に対しては術後抗凝固療法による予防が肝要と思われた.

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