日本臨床外科学会雑誌
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腸重積にて発症し十二指腸から結腸まで病変を有した消化管lipomatosisの1例
佐溝 政広奥本 聡和田 隆宏堀田 芳樹
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キーワード: 腸重積症, 消化管脂肪腫
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2000 年 61 巻 3 号 p. 661-664

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抄録
今回われわれは腸重積にて発症し,十二指腸から結腸までの広範な病変を認めた消化管lipomatosisの1例を経験したので報告する.患者は49歳,男性.下腹部痛にて発症し当院入院となった.腹部CT検査上,上行結腸内に小腸が陥入した腸重積像を認め,上行および下行結腸内に脂肪腫を思わせる円形のlow density massが描出されていた.腸重積症と診断し,回盲部切除術を施行した.術中,小腸全域に多発性の腫瘤を認めた.術後に再度精査し,十二指腸~下行結腸にまで拡がりをもつ消化管lipomatosisと診断した.消化管脂肪腫は,そのほとんどは単発であり,多発性のものは極めて稀である.われわれが検索しえた範囲では海外で20例,本邦では7例の消化管lipomatosisを認めるに過ぎず,本例は本邦8例目と思われる.また,十二指腸から結腸までの広範な病変を認めた症例は海外で1例のみであり,極めて稀な疾患と考えられた.
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