2001 年 62 巻 3 号 p. 739-743
症例は45歳男性,既往歴に左尿管癌があり,さらに母親が大腸癌の家族歴がある.貧血の検査でRbに1型の直腸癌とRsに全周性2型直腸癌を指摘された. Rsの病変により口側が閉塞されているため全大腸の検索はできなかった.開腹するとさらにS状結腸に1個,横行結腸に2個の大腸癌を認めたため,肛門から横行結腸までを切除し上行結腸による人口肛門を造設した.病理組織学的にすべてが進行癌の5多発癌で,以上の所見からHNPCCのうちのLynch II型症候群と診断した.