日本臨床外科学会雑誌
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腹腔鏡下S状結腸切除術後に壊死性筋膜炎を発症した1例
大東 雄一郎上山 直人籠島 忠稲次 直樹中野 博重
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2001 年 62 巻 3 号 p. 813-816

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抄録

腹腔鏡下S状結腸切除術後に,腹壁壊死性筋膜炎を合併した1例を経験したので報告する.症例は65歳男性.平成9年6月25日,近医でS状結腸癌と診断されて腹腔鏡下S状結腸切除術を受けた.病期分類は, Stage IIIa (MP, N1+, H0, P0, M0) であった.術後8時間から高熱が出現し,翌日には創部に皮下膿瘍を伴ってきた.術後3日目にショック状態となり,意識レベルの低下,急性腎不全をきたしたため,当センターに紹介された.術後6日目に左右の腸骨稜から腋窩にかけての側腹部皮下に炎症が波及し,さらに腹壁創がし開して腸管が脱出したため,緊急手術を施行した.創部を中心に腹壁の皮下組織・筋膜の壊死を広範囲に認めたので壊死性筋膜炎と診断した.壊死組織の細菌培養では, Enterococcus faecalisとMorganella morganiiが検出された.術後,抗生剤の全身投与と皮下洗浄および壊死組織のdebridmentを続け,術後2カ月で治癒した.

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