日本臨床外科学会雑誌
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術前にCT画像にて診断した大網捻転壊死の1例
王子 裕東石島 直子佐々木 久下松谷 匠丸橋 和弘
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2002 年 63 巻 1 号 p. 210-213

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抄録

鼠径ヘルニアが原因と考えられる大網捻転壊死の稀な症例を経験したので報告した.症例は62歳,男性で左鼠径部から左陰嚢にかけての腫大と右下腹部痛にて来院した, 38°Cの熱発と右下腹部の圧痛,筋性防御を認め,また腹部computed tomography (以下CT)で中下腹部に渦巻き状の層状構造を認め大網捻転壊死を疑い開腹手術を施行した.大網の約3/4が捻転し,出血壊死状となっており,健常部で大網を切除し,左鼠径ヘルニア根治術を併せて施行した.病理診断では悪性所見を認めなかった.自験例を含む98例について文献的考察を加え検討した.大網捻転症は術前診断が困難であるが診断にはCTが有用であった.また死亡例はなく,予後良好であった.

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