抄録
肺癌は,その解剖学的特性により早期に転移をきたしやすいが,胃への転移は少なく,なかでも生存中に胃転移が確認され切除された症例となると非常に稀である.今回,われわれは肺癌の胃転移切除例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は70歳男性で, 2カ月前にG-CSF産生肺大細胞癌にて右上葉切除を受け,発熱,全身倦怠感にて再入院した.胃透視,胃内視鏡検査にて胃体上部大彎側にBorrmann I型様の病変を認め,生検にて大細胞癌と診断され,腹部CT等より切除可能と判断して手術を施行した.手術は胃全摘術を施行した.切除標本の病理検査では大細胞癌で,深達度はseで,リンパ節転移は認めなかった.術後DocetaxelとCDDPの補助化学療法を3クール施行後退院した.術後28カ月の現在,再発の徴候はない.