抄録
大腸脂肪腫は比較的稀な大腸良性腫瘍であり中高年者に多く女性にやや多い.今回われわれは肛門腫瘤を主訴としたS状結腸脂肪腫を経験したので報告する.症例は37歳,男性,主訴は肛門腫瘤である.排便時肛門からピンポン玉大の腫瘤が脱出した.出血はなく容易に還納された.大腸内視鏡検査では, S状結腸に約6 cmの有茎性の腫瘤を認め,注腸ではRs付近に約6 cmの腫瘤を認めた. CTでは直腸に脂肪組織と同レベルの低吸収域を示す腫瘤を認めた.手術所見ではS状結腸の可動性のある腫瘤で, S状結腸部分切除術を施行した.長さ6 cmの茎を有する14×8×7 cmの腫瘍で,病理診断は脂肪腫であった.われわれの症例は比較的低年齢の男性で,腫瘍径が大きく,肛門腫瘤を主訴とした点で珍しい.腫瘍が大きく,悪性腫瘍も否定できず開腹手術を施行したが,術前脂肪腫と確認できれば,腹腔鏡補助下手術の適応となりうると考えられた.