日本臨床外科学会雑誌
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脾静脈末梢側が途絶し,術前悪性腫瘍が疑われた膵漿液性嚢胞腺腫の1例
岡 義雄田中 伸生
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2003 年 64 巻 2 号 p. 453-457

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抄録
術前悪性を疑った膵漿液性嚢胞腺腫の1例を経験した.症例は, 76歳,女性.左下側胸部痛にて近医受診し,膵嚢胞性腫瘤の診断で当院外科を紹介された.膵尾部に7cm大の嚢胞性腫瘤があり,胃への浸潤も否定できず,血管造影検査ではhypervascularで,脾静脈末梢側は圧排,途絶し, collateral vesselが発達していた.以上の所見より,膵嚢胞腺癌を疑い,膵体尾部切除術+摘脾術+リンパ節郭清を施行.腫瘤は膵尾部に存在し,多房性嚢胞性で胃への浸潤はなく,圧排のみであった.病理組織学的に,嚢胞隔壁には一層の,円形の核を有する細胞の被覆がみられ,時に間質をほとんど伴わない小乳頭状増生が散見されたが,分裂像は目立たず,浸潤を疑わせる部位もみられなかった.細胞質はglycogen richで, serous cystadenoma, benignと診断された.術後5年経過したが,再発の兆候はない.
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