抄録
腸閉塞は日常的に経験する疾患であるが,開腹の既往のない癒着性腸閉塞に遭遇することは比較的稀である.中でも高齢者に発生した腸閉塞では併存疾患のコントロール,水分や電解質のバランスの維持などに難渋することも多い.今回われわれは小腸に著明な狭窄を伴うが,開腹の既往を認めない85歳以上の超高齢者の腸閉塞を2例経験した.保存的治療により腸管の拡張は軽減したが, 2例ともイレウス管造影により回腸の著明な狭窄を認めたため,開腹手術を行った.開腹所見,病理所見とも炎症性癒着による狭窄を認めるのみであり,これに対して狭窄部腸管の切除を行い,術後の経過は良好であった.開腹の既往のない癒着性腸閉塞は比較的稀であるが,手術を要するような狭窄を伴うことがあることも念頭において対処する必要があると考えた.