日本臨床外科学会雑誌
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高ビリルビン血症および上腸間膜静脈血栓症を呈した虫垂炎の1例
佐藤 政広堀江 久永小泉 大石橋 敏光安田 是和永井 秀雄
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2003 年 64 巻 4 号 p. 920-923

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抄録
症例は68歳,男性. 2002年1月5日発熱にて発症した.近医にて抗生物質を投与されるも解熱せず,黄疸を呈してきたため急性肝炎を疑われ入院加療を受けた.しかし状態は改善せず,上腸間膜静脈血栓が認められたため, 1月21日当院消化器内科へ転院した.腹部は平坦,軟で,腹膜刺激症状は認められなかった.血液検査では,白血球, CRP,総ビリルビンの上昇を認めた.腹部USおよびCT検査で肝腫大,脾腫,上腸間膜静脈血栓が認められ,虫垂近傍に径5 cmの膿瘍が描出された.静脈血培養ではグラム陰性桿菌が検出された.以上より本病態の原因は虫垂炎によるものと診断され1月23日当科紹介となり同日虫垂切除術およびドレナージ術が施行された.虫垂は後腹膜に穿孔し膿瘍を形成していた.腹膜刺激症状を呈さずに,敗血症,上腸間膜静脈血栓症および高ビリルビン血症を呈するに至った虫垂炎の貴重な症例と考え,文献的考察を加え報告する.
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