日本臨床外科学会雑誌
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術前診断が可能であった小児胆嚢捻転症の1例
高野 真吾高橋 基夫鈴木 康弘狭間 一明高橋 康宏吉岡 達也
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キーワード: 胆嚢捻転症, 小児, 術前診断
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2003 年 64 巻 4 号 p. 964-968

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抄録

症例は8歳,男児.嘔気,上腹部痛を主訴に当院小児科受診した.受診時腹部触診にて右上腹部腫瘤を触知し腹部超音波検査にて胆嚢壁肥厚を認めたため,胆嚢炎疑いで入院.絶食,抗生剤投与にても軽快せず,磁気共鳴式胆道膵管造影(MRCP)施行された.胆嚢の内下方変位,胆嚢管の不明瞭化が観察されたため,胆嚢捻転症に伴う胆嚢壊死の診断で開腹手術施行した.手術所見では胆嚢は頸部を中心に反時計方向に約720度捻転し,壊死を呈していた.術後は合併症なく軽快退院した.小児発症の胆嚢捻転症は非常に稀であり, 10歳以下では本症例を含め22例が報告されているのみである.術前診断は従来困難であるとする報告が多かったが,近年は術前に診断可能例の報告が増加している.本症例でも術前に正診が得られ,腹部US, CTに加え, MRCP,カラードップラーエコーが診断に有用であった.

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