日本臨床外科学会雑誌
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乳腺転移をきたした膵癌の1例
北條 茂幸前浦 義市太田 博文遠藤 和喜雄山崎 恵司岡本 茂
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キーワード: 乳腺転移, 膵癌
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2004 年 65 巻 2 号 p. 487-490

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抄録

乳腺転移をきたした膵癌の1例を経験した.症例は72歳,女性. 2001年11月より心窩部不快感,背部痛が出現, 2002年2月に右乳房腫瘤を自覚.右乳房C領域に径1.2cm,形状不整,境界明瞭,弾性硬の腫瘤を触知.マンモグラフィではカテゴリー3~4,超音波検査では辺縁に低エコー域を伴う等エコー像を認めた.穿刺吸引細胞診ではクラスV,腺癌であった.術前の腹部超音波検査にて肝S4に径4.5cm,辺縁にhaloを伴う腫瘤影を,腹部CT検査にて膵体尾部に径5cmの腫瘤陰影を認め,膵癌 肝転移,傍大動脈リンパ節転移と診断. CA19-9が2,683U/mlと高値を示し,膵癌が乳房腫瘤の原発巣と考えた.膵癌に対し化学療法を開始するも,上部消化管狭窄の症候が出現し,胃空腸吻合術施行.同時に乳房円状部分切除術施行.病理組織学的に乳腺への転移性膵癌と診断した.乳腺組織への他臓器原発悪性腫瘍からの転移,特に膵癌が原発巣であることは極めて稀であるので報告する.

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