日本臨床外科学会雑誌
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魚骨による虫垂穿孔の1例
北原 光太郎野口 純也生天目 信之渡辺 直純伊達 和俊小野 一之
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キーワード: 魚骨, 消化管穿孔, 虫垂炎
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2004 年 65 巻 4 号 p. 984-987

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抄録

症例は69歳,男性.主訴は右下腹部痛. 1月初旬より右下腹部痛があり, 2月下旬になって痛みが増強したため来院.来院時右下腹部に圧痛と同部に直径約7 cm大の可動性不良な硬い腫瘤を認め,白血球10,800/ul, CRP 12.9mg/dlであった.腹部CTでは右下腹部に5 cm大の境界やや不明瞭な腫瘤を認めた.また中心部に長さ約3 cmの線状high densityな部分が認められた. CT所見と病歴により魚骨による虫垂穿孔と診断し手術を施行した.虫垂の中央部に2.5cmの魚骨が穿孔しており,一塊となった回盲部を切除した.術後経過は良好で術後17日目に退院となった.魚骨による虫垂穿孔は手術により診断されることが多いが,詳細な病歴聴取とCTなどの画像検査により術前診断がなされた報告が散見されており,本疾患も念頭におくことが重要であると考えられた.

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