日本臨床外科学会雑誌
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胸腺腫術後肝転移の1切除例
伊藤 泰平山本 宏浅野 武秀永田 松夫加賀谷 暁子渡辺 一男
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キーワード: 胸腺腫, 肝転移, 肝切除
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2005 年 66 巻 1 号 p. 140-144

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抄録
症例は52歳,女性. 1993年ll月22日悪性胸腺腫に対して胸腺全摘+右肺葉全摘術施行.術後, total 60Gyの放射線治療を行った. 1999年6月16日腹部超音波検査にて,肝腫瘍を指摘され, 8月17日肝S7亜区域切除とS3部分切除術を施行した.病理組織から胸腺腫術後の肝転移と診断された. 2003年6月18日腹部CTにて肝S6に再び腫瘍を指摘され, 7月24日肝S6部分切除+micro wave焼灼術を施行した. 2004年6月1日現在,左下肺野の孤立性腫瘤陰影がslow growingな転移巣と考えているが,その他明らかな再発所見を認めない.本症例は原発巣術後67カ月で肝転移を認め,第1回肝切除から再肝転移が発見されるまで46カ月と非常に緩徐な発育を示し,肝切除によって予後は良好であると期待される.胸腺腫による肝転移報告例は,自験例を含め,本邦では34例を認めるのみであり,肝転移を切除しえたのは8例のみで非常に稀である.
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