抄録
壊死性膵炎は発症早期に重要臓器障害を伴い,後期では過半数に壊死巣の感染が合併し保存的治療は限界で,外科的治療を必要とする.
今回,感染性膵壊死に対し後腹膜ドレナージ術を行い14カ月後に胆嚢結石症に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行しえた1例を報告する.
症例は48歳,男性.主訴はアルコール多飲後腹痛,当院へ紹介入院.急性膵炎の診断にて保存的加療す.一時軽快するも,その後症状悪化し膵全体の著明な腫大と左腎下極へ炎症波及しCT Grade Vを示した.発症後95日目に感染性膵壊死に対し後腹膜アプローチによるドレナージ術およびnecrosectomyを行った.術後144日目に軽快退院となった. 14カ月後に胆嚢結石症に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術が可能であった.
感染性膵壊死に対する後腹膜アプローチ術は,直接腹腔内操作が避けられ,その後の腹腔鏡下胆嚢摘出術が可能であり大変有用な方法と思われた.