日本臨床外科学会雑誌
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受傷3年後に発症した外傷性右横隔膜ヘルニアの1例
幸部 吉郎山本 義一高石 聡所 義治舟波 裕関 幸雄
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2005 年 66 巻 5 号 p. 1037-1040

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抄録

患者は79歳,女性.乗用車乗車中の交通事故にて受傷し近医に入院した.右血胸と診断され胸腔ドレーンの挿入を受け軽快したので退院した.受傷半年後の胸部単純X線検査にて右下肺野異常陰影を認め,精査するも無症状のため経過観察となっていた.受傷3年後,食後に嘔吐が出現し近医受診,胸部単純X線検査にて右横隔膜ヘルニアと診断され翌日当院入院となった.胸腹部CTにて胸腔内に腸管,肝,胆嚢の脱出を確認した.外傷性右横隔膜ヘルニアの診断にて開腹したが,回腸がヘルニア門に陥入しており他に肝内側区域,胆嚢もヘルニア門に陥入していた.横隔膜の右側に径7×5cmの裂傷を認め,結節縫合にて閉鎖した.術後経過は良好で術後第15病日に退院した.遅発性の発症で発生部位が右側横隔膜である外傷性横隔膜ヘルニアは稀であるが,若干の反省を含め文献的考察を加え報告した.

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